【企画職向け】リモートワーク向けアンケートツール比較と活用術
リモートワークにおける情報収集と非同期コミュニケーションの課題
リモートワークが本格的に導入され、自宅での業務に徐々に慣れてきた一方で、いくつかの課題に直面している方も多いのではないでしょうか。特に、チームメンバーとの非同期コミュニケーションや、関係者からの情報収集、そして効率的な意思決定のプロセスに難しさを感じている企画職の方もいらっしゃるかもしれません。
「この件について皆の意見を聞きたいけれど、チャットだと流れてしまう」「会議を開くほどではない簡単な確認だが、個別に連絡するのは手間がかかる」「複数の選択肢の中から、短時間で多数決を取りたい」といった状況は、非同期での連携が中心となるリモートワーク環境では頻繁に発生します。また、情報収集や意見集約の方法が非効率だと、業務の停滞を招き、結果として集中力の維持にも影響を及ぼす可能性があります。
こうした課題に対する有効な解決策の一つとして、アンケートツールの活用が挙げられます。本記事では、リモートワーク環境での情報収集やコミュニケーションを効率化するためのアンケートツールの選び方、代表的なツールの特徴、そして企画職の業務で役立つ具体的な活用方法をご紹介します。この記事を通じて、皆様のリモートワークがよりスムーズで生産性の高いものとなるヒントを得ていただければ幸いです。
リモートワークでのアンケートツール活用のメリット
アンケートツールは、単に市場調査を行うためだけのものではありません。リモートワーク環境においては、以下のような多様なメリットをもたらします。
- 非同期での効率的な情報収集: 関係者がそれぞれの都合の良い時間に回答できるため、全員が集まる会議を設定することなく、効率的に多数の意見や情報を収集できます。
- 本音を引き出しやすい匿名性: 必要に応じて匿名での回答を可能にすることで、率直な意見や懸念を引き出しやすくなります。これは、特にチーム内の改善点や率直なフィードバックを収集したい場合に有効です。
- 定量的・定性的な意見の集約: 選択式、記述式など様々な形式の質問を組み合わせることで、具体的な数値データと、参加者の詳細な意見の両方を収集できます。
- 自動集計・分析: 回答は自動的に集計され、グラフ化されるツールが多く存在します。これにより、手動での集計作業にかかる時間を大幅に削減し、素早く結果を分析・共有できます。
- 簡易的な意思決定のサポート: 複数の選択肢に対する賛否や希望を集計することで、簡易的な多数決や意見の傾向把握が容易になり、非同期でのスピーディーな意思決定をサポートします。
- 情報共有後の理解度確認: 共有した資料や情報がどの程度理解されているかを確認するための簡単なチェックツールとしても活用できます。
これらのメリットは、企画の立案段階でのアイデア収集から、プロジェクト進行中のチーム内調整、関係者への情報確認まで、企画職の幅広い業務において生産性向上に貢献します。
リモートワーク向けアンケートツールの選び方
数多くのアンケートツールが存在するため、自身の状況や目的に合ったものを選ぶことが重要です。リモートワークで利用するツールを選ぶ際に考慮すべき主なポイントを挙げます。
- 使いやすさ: ツールを使ったアンケートの作成経験が少ない場合、直感的で分かりやすいインターフェースを持つツールを選ぶことが最も重要です。質問形式の選択、質問の追加・編集、デザイン設定などが簡単に行えるかを確認しましょう。
- 機能の豊富さ: 必要な質問形式(単一選択、複数選択、記述式、プルダウン、スケールなど)が揃っているか。また、回答の分岐設定(回答によって次に表示する質問を変える機能)や、デザインのカスタマイズ性なども考慮に入れると良いでしょう。
- 配布方法の多様性: 作成したアンケートをどのように共有できるかも重要な選定基準です。URLリンク、メール送信、Webサイトへの埋め込み、SlackやTeamsなどのチャットツールとの連携機能があると、回答者へのアクセスが容易になります。
- 集計・分析機能: 回答データをリアルタイムで確認できるか、集計結果がグラフなどで視覚的に表示されるか、データをCSVなどでエクスポートできるかなどを確認します。簡単な集計で十分なのか、より詳細な分析が必要なのかによって、求める機能レベルは異なります。
- 価格体系: 無料プランの有無、有料プランで利用できる機能や回答数の上限、チームでの利用に適したプランがあるかなどを確認します。まずは無料プランで試用し、使用感を確かめるのがおすすめです。
- セキュリティとプライバシー: 収集する情報の内容に応じて、ツールのセキュリティ対策やプライバシーポリシーを確認することも重要です。特に機密性の高い情報を扱う場合は注意が必要です。
- 他のツールとの連携: 普段利用しているツール(Google Drive, Microsoft 365, Slack, Teamsなど)との連携機能があると、ワークフローをスムーズに進めることができます。
これらのポイントを踏まえ、まずは無料で試せるツールからいくつか試してみるのが、自身やチームにとって最適なツールを見つけるための第一歩となります。
主要なアンケートツールの比較(代表例)
ここでは、リモートワーク環境でも利用しやすい、代表的なアンケートツールをいくつかご紹介し、上記の選定ポイントに基づいて簡単な比較を行います。
-
Google Forms:
- 使いやすさ: 非常にシンプルで直感的。初心者でも簡単にアンケートを作成できます。
- 機能: 基本的な質問形式は揃っています。回答分岐も利用可能。デザインの自由度は高くないものの、必要十分な機能があります。
- 配布方法: URL共有、メール送信、Webサイト埋め込みが可能です。Google Workspaceとの連携がスムーズです。
- 集計・分析: 回答は自動集計され、リアルタイムで確認できます。Google Sheetsに自動で連携し、詳細な分析も可能です。
- 価格: 無料(Googleアカウントがあれば利用可能)。非常に手軽に始められます。
- 特徴: Google Workspaceを利用しているチームにとっては、特に導入・運用が容易です。
-
Microsoft Forms:
- 使いやすさ: Google Formsと同様にシンプルで使いやすい設計です。
- 機能: 基本的な質問形式に加えて、評価尺度やランキング形式なども利用できます。テーマ設定など、デザインのカスタマイズ性も一定程度あります。
- 配布方法: URL共有、QRコード、埋め込み、メール送信などが可能です。Microsoft 365製品との連携がスムーズです。
- 集計・分析: 回答の自動集計・グラフ表示機能があり、Excelにエクスポートできます。
- 価格: Microsoft 365ライセンスがあれば利用可能。無料版(個人向けMicrosoftアカウント)でも利用できますが、機能に一部制限があります。
- 特徴: Microsoft 365環境を利用しているチームにおすすめです。Forms Pro(有料版)ではより高度な機能が利用できます。
-
Typeform:
- 使いやすさ: 洗練されたデザインで、回答者にとっての負担が少ない形式(質問が一つずつ表示される)が特徴です。作成画面も直感的です。
- 機能: 多彩な質問形式、高度なロジック分岐、外部ツールとの連携機能などが豊富です。デザインの自由度も高いです。
- 配布方法: URL共有、埋め込み、メール、様々な外部サービス(Slack, HubSpotなど)との連携が可能です。
- 集計・分析: 見やすい形で結果が集計・表示され、詳細な分析機能やレポート作成機能(有料プラン)があります。
- 価格: 無料プランと複数の有料プランがあります。無料プランでは回答数などに制限があります。
- 特徴: 回答率を高めたい、デザイン性の高いアンケートを作成したい場合におすすめです。
これらのツール以外にも多くの選択肢がありますが、まずは上記のような代表的なツールを試してみることから始めるのが現実的でしょう。特にGoogle FormsやMicrosoft Formsは、既に利用している可能性が高く、無料または追加費用なしで利用できるため、導入のハードルが低いと言えます。
企画職のためのアンケートツール活用術
企画職がリモートワークでアンケートツールを活用できる具体的なシーンは多岐にわたります。
-
社内アイデア・意見募集:
- 新規プロジェクトのテーマに関するアイデア出し。
- 既存業務の改善点や非効率だと感じている点に関する意見収集。
- チームメンバーのスキルや関心事に関する情報収集。
- ポイント: 匿名回答を許可することで、部署や役職に関わらず率直な意見を集めやすくなります。
-
簡単な顧客ニーズ・フィードバック収集:
- 開発中のサービスや機能に関する簡単なユーザーアンケート。
- 提供済みの資料やコンテンツに関する理解度や満足度調査。
- ウェビナーやオンラインイベント後の満足度調査、次回のテーマに関する要望収集。
- ポイント: 回答者の負担を減らすため、質問数を絞り、回答しやすい形式(選択式中心)にすると回答率が高まります。
-
チーム内の簡易的な意思決定・調整:
- 次のチームミーティングの日程候補に対する希望調査(日程調整ツールが適さないほど簡易な場合)。
- 複数の提案の中から、チームとして優先すべきものを決定する際の意向確認。
- チャットでは議論が拡散しやすいテーマについて、論点を絞って意見を収集。
- ポイント: 期限を明確に設定し、回答のお願いと目的を丁寧に伝えることで、協力的に回答を得やすくなります。
-
非同期での進捗確認・状況把握:
- 週初めに、各自のタスクや懸念点を簡単に報告してもらうフォーム。
- 特定の資料確認が必要なメンバーへの、確認完了報告フォーム。
- リモートワーク環境での体調や業務に関する簡単な状況把握。
- ポイント: 定期的な報告が必要な場合は、テンプレートを作成しておくと、回答者も入力しやすくなります。
これらの活用例はあくまで一部です。ご自身の業務内容やチームの状況に合わせて、アンケートツールを効果的に活用する方法を検討してみてください。ツールを使うことで、これまで時間のかかっていた手作業での情報収集や、チャットでのやり取りに埋もれてしまいがちだった情報が、整理された形で収集できるようになります。
まとめ
リモートワーク環境において、企画職が直面しがちな情報収集や非同期コミュニケーションの課題に対し、アンケートツールは有効な解決策を提供します。関係者からの意見収集、簡易的な意思決定、状況把握など、様々なシーンで活用することで、業務効率を大きく向上させることが可能です。
ツール選定に迷う場合は、まずはGoogle FormsやMicrosoft Formsのような、多くの企業で利用されている無料または既存のライセンスで利用可能なツールから試してみることをおすすめします。使いやすさ、機能、配布・集計方法などを比較検討し、ご自身やチームのニーズに最も合ったツールを見つけてください。
アンケートツールを上手に活用し、リモートワークにおける情報収集とコミュニケーションの質を高め、より生産性の高い働き方を実現しましょう。