【企画職向け】リモートワーク ブレストツール選び方と活用法
リモートワークが定着し、場所にとらわれない柔軟な働き方が可能となりました。一方で、オフィスで当たり前に行っていた対面でのちょっとした相談や、ホワイトボードを囲んでのブレインストーミングなど、偶発的なコミュニケーションや視覚的な共同作業に難しさを感じている方も多いのではないでしょうか。特に企画職においては、新しいアイデアを生み出し、チームで議論し、形にしていくプロセスにおいて、リモート環境ならではの課題に直面することがあります。
「みんなで付箋を貼ってアイデアを出し合うようなブレストがしにくい」「リモートだと発言しづらい人がいる」「ブレストの結果をまとめるのが大変」といった声も聞かれます。また、数多くのリモートワークツールが登場しており、「どれを使えば効果的にブレストができるのか分からない」と迷ってしまうこともあるかもしれません。
この記事では、リモートワーク環境でブレインストーミングやアイデア出しを円滑に進めるためのツールに焦点を当て、その選び方や具体的な活用法について解説します。この記事を通して、リモートでのアイデア創出プロセスを改善し、チームの創造性や生産性を高めるためのヒントを得ていただければ幸いです。
リモートワークにおけるブレインストーミングの課題
対面でのブレインストーミングは、同じ空間に集まり、視覚的な情報を共有しながら、参加者同士が気軽に意見を交換できる良さがあります。しかし、リモートワークでは、物理的な距離があるために以下のような課題が生じやすくなります。
- 非言語情報の伝達不足: 表情や身振り手振りといった非言語情報が伝わりにくく、微妙なニュアンスの共有が難しい場合があります。
- 偶発的なアイデアの生まれにくさ: 会議の前後や休憩時間といったオフラインでの偶発的な会話から生まれるアイデアが減少します。
- 発言のタイミングの難しさ: オンライン会議ツールでは、発言のタイミングが重なると聞き取りにくくなり、遠慮してしまう参加者が出る可能性があります。
- アイデアの視覚化と整理の難しさ: 対面ではホワイトボードや模造紙で簡単に行えたアイデアの書き出し、グルーピング、関連付けといった作業が、ツールなしでは効率的に行えません。
- 集中力の維持: 自宅など慣れない環境でのブレストは、集中力が途切れやすい場合があります。
これらの課題を解決し、リモート環境でも活発で生産的なブレインストーミングを行うためには、適切なツールの活用が不可欠です。
リモートブレストに役立つツールの種類と特徴
リモートでのブレインストーミングやアイデア出しを支援するツールには、様々な種類があります。ここでは代表的なツールタイプとその特徴を紹介します。
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オンラインホワイトボードツール:
- 仮想のホワイトボード上で、付箋、図形、画像などを自由に配置し、複数人でリアルタイムに編集できます。
- アイデアの発散、構造化、関連付けといった視覚的な思考プロセスに最適です。
- 代表例: Miro、Mural
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共同編集可能なドキュメント/ノートツール:
- 複数のユーザーが同時に文書やページを編集し、アイデアや情報を集約できます。
- ブレスト後の情報の整理や、構造化されたアイデアの蓄積に向いています。
- 代表例: Google Docs、Notion、Coda
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アイデア共有/収集特化ツール:
- 特定のテーマに対して、アイデアを投稿・評価・分類することに特化したツールです。
- 非同期でのアイデア収集や、大量のアイデアを効率的に絞り込む際に有効です。
- 代表例: Mentimeter (主にアンケート・投票機能だがアイデア収集にも応用可能)、専用のアイデア管理ツールなど
企画職の業務内容やブレストの目的に応じて、これらのツールを単体で使うことも、組み合わせて使うことも考えられます。例えば、アイデアの発散にはオンラインホワイトボードを使い、その後の整理や詳細化には共同編集ドキュメントツールを活用するなどです。
リモートブレストツールの選び方
「どのツールを選べば良いか分からない」という悩みを解消するために、ツール選定の際に考慮すべきポイントをいくつかご紹介します。
- 目的と必要な機能: どのようなブレストを行いたいか(アイデア発散、課題解決、コンセプト定義など)を明確にし、それに必要な機能(付箋機能、テンプレート、投票機能、タイマー機能など)があるかを確認します。
- 使いやすさ: ターゲット読者のような新しいツール導入にやや戸惑いがある方を想定すると、直感的で操作が簡単なツールを選ぶことが重要です。チームメンバー全員が抵抗なく使えるかが鍵となります。無料トライアルなどを活用して、実際の操作感を確かめることを推奨します。
- チームの規模: 参加人数によって、ツールの推奨ユーザー数や料金プランが異なります。チームの規模に適したプランがあるかを確認します。
- 他のツールとの連携: 現在利用しているコミュニケーションツール(Slack, Teamsなど)やプロジェクト管理ツール、ストレージサービス(Google Drive, Dropboxなど)との連携機能があると、情報共有やワークフローがスムーズになります。
- 価格体系: 無料プランの有無、有料プランの料金、課金体系(ユーザー数、機能制限など)を確認します。まずは無料プランや試用期間で試してみるのが良いでしょう。
- 導入の手軽さ: アカウント作成や設定が複雑でないか、特別なソフトウェアのインストールが必要かなども考慮点です。Webブラウザで完結するツールは導入ハードルが低いと言えます。
リモートブレストツールの具体的な活用法
ここでは、オンラインホワイトボードツールを例に、企画職がリモートブレストを行う際の具体的な活用ステップをご紹介します。
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ブレストの準備:
- 目的・テーマ設定: 何のためにブレストを行うのか、明確なテーマを設定し、参加者に事前に共有します。
- ツールの選定と準備: 目的・参加者に合ったツールを選び、必要に応じてテンプレート(例: マインドマップ、KJ法ボード、カスタマージャーニーマップなど)を用意しておきます。オンラインホワイトボードツールには豊富なテンプレートが用意されています。
- ツールの操作説明(必要に応じて): 普段使い慣れていないメンバーがいる場合は、ブレスト開始前に基本的な操作方法(付箋の作成、移動、テキスト入力など)を簡単に説明する時間を設けるとスムーズです。
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ブレストの実施:
- ルール設定: 「他者のアイデアを否定しない」「質より量」「自由に発想する」「アイデアを結合・発展させる」といったブレストの基本ルールを改めて共有します。
- アイデア出し: 設定したテーマに対して、参加者が各自ツール上にアイデアを付箋などで書き出していきます。全員が同時に書き込めるため、オフラインブレストで起こりがちな「声の大きい人ばかり話す」状況を防ぎやすい利点があります。タイマーを設定し、時間を区切って行うと集中力が高まります。
- アイデアの共有と説明: 一通りアイデアが出揃ったら、各自が出したアイデアについて簡単に説明します。ツール上でポインター機能などを使い、視覚的に共有しながら行うと分かりやすいです。
- アイデアの整理とグルーピング: 出たアイデアを似たもの同士でグルーピングしたり、関連付けたりして整理します。オンラインホワイトボードなら、付箋をドラッグ&ドロップで簡単に移動できます。
- アイデアの評価・絞り込み: 必要に応じて、重要なアイデアや発展させたいアイデアに投票機能などを使って印をつけます。これにより、次のステップに進むためのアイデアを絞り込むことができます。
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ブレスト後のフォロー:
- 結果の保存と共有: 作成したボードやドキュメントは自動的に保存され、リンクなどで簡単に共有できます。議事録としても機能し、後から見返すことができます。
- ネクストアクションの設定: ブレストで出たアイデアを基に、具体的なタスクや担当者を決め、次のステップへ繋げます。ツールによってはタスク管理機能と連携できるものもあります。
企画職の具体的な活用シーン例
- 新商品/サービス企画: ターゲット顧客の課題、アイデア、必要な機能などを付箋で大量に書き出し、グルーピングしてコンセプトを定義する。
- 業務改善: 既存の業務プロセスを図解し、課題となっている箇所を特定、その解決策アイデアを出し合う。
- プロジェクト課題解決: プロジェクト進行上の課題をリストアップし、それぞれの原因や解決策についてチームメンバーでアイデアを発散・収束させる。
- ユーザーペルソナ/ジャーニーマップ作成: 仮想ホワイトボード上でペルソナ像やユーザーの行動フローを視覚的に作り上げ、チームで共有・議論する。
効率的なリモートワークのためのヒント
ブレインストーミングツールだけでなく、リモートワーク全般の効率を高めるためには、ツールの活用と合わせて以下の点も意識すると良いでしょう。
- 非同期コミュニケーションの活用: チャットツールなどを使い、ブレストテーマに関する予備情報を事前に共有したり、ブレスト後にツール上でコメントを残したりするなど、リアルタイム会議以外の時間も有効活用します。
- デジタル環境の整備: 安定したネットワーク環境、クリアな音声通話のためのヘッドセットなどは、スムーズなブレスト実施の前提となります。
- ブレスト時間の短縮と集中: リモートブレストは対面よりも短時間で集中して行う方が効果的な場合があります。時間管理ツールなどを活用するのも有効です。
- ツールの習熟: 使用するツールの基本的な機能は、ブレスト前に各自が確認しておくと、当日の操作に関する戸惑いが減り、議論に集中できます。
まとめ
リモートワーク環境下でのブレインストーミングやアイデア出しは、対面とは異なる課題を伴いますが、適切なツールを選び、効果的に活用することで、オフィスにいるのと同等、あるいはそれ以上の成果を上げることが可能です。
この記事でご紹介したツールの種類、選び方のポイント、そして具体的な活用法を参考に、ご自身のチームや企画業務に合ったツールを見つけ、ぜひ試してみてください。オンラインホワイトボードのような視覚的なツールは、アイデアの発散や整理を助け、チーム全体の創造性を刺激する力があります。
まずは無料プランや試用期間があるツールから試してみて、チームにとって最も使いやすく、ブレストが活性化するツールを見つけていくことを推奨いたします。ツールを効果的に活用し、リモートワークにおける企画・アイデア創出プロセスをさらに豊かなものにしていきましょう。