【企画職向け】リモートワーク 非同期での確認・承認をスムーズにするツール比較と活用法
リモートワークが本格的に導入され、働く場所や時間にとらわれず柔軟に働けるようになった一方で、新たな課題に直面している方も多いかと存じます。特に企画職の方であれば、上司や関係部署への確認・承認業務において、非同期コミュニケーションならではの難しさを感じているのではないでしょうか。
「あの資料、いつ確認してもらえるのだろう」「フィードバックがバラバラでまとめるのが大変」「進捗が見えにくくて、ボトルネックになっている場所が分からない」といった悩みは、自宅での集中力維持やチームとの非同期コミュニケーションに課題を感じている多くの企画職が抱える共通の課題です。
この記事では、リモートワーク環境下での非同期確認・承認プロセスをスムーズにし、業務を効率化するためのツールに焦点を当ててご紹介します。様々なツールの中から、自社の状況に合ったものを選ぶための比較ポイントや、具体的な活用法について解説いたします。この記事をお読みいただくことで、確認・承認業務の遅延や煩雑さを解消し、より生産的なリモートワークを実現するためのヒントを得ていただければ幸いです。
リモートワークにおける確認・承認プロセスの課題
オフィス勤務時には、隣の席の上司に声をかけたり、回覧で書類を回したりすることで比較的容易に行えていた確認・承認プロセスですが、リモートワーク環境では以下のような課題が生じやすくなります。
- コミュニケーションの遅延: 対面でのコミュニケーションが難しくなり、メッセージやメールでのやり取りが中心となります。相手のオンライン状況が不明確な場合や、時差がある場合など、確認や承認に時間がかかることがあります。
- 情報の分散と可視性の低さ: 確認依頼、フィードバック、承認状況などが、メール、チャット、共有フォルダなど複数の場所に分散しがちです。これにより、誰がどこまで確認しているのか、次のアクションは何かが分かりにくくなります。
- 手戻りの発生リスク: 十分な情報が共有されずに確認が進んだり、フィードバックが複数人からバラバラに来たりすることで、内容の齟齬や手戻りが発生しやすくなります。
- 形式的な手続きの煩雑さ: 電子承認システムがない場合、書類を印刷して捺印、スキャンして送付といった手間が発生し、非効率的です。
これらの課題は、企画の進行を遅らせるだけでなく、担当者の精神的な負担にも繋がります。特に複数のプロジェクトやタスクを並行して進める企画職にとって、確認・承認プロセスの効率化は喫緊の課題と言えるでしょう。
確認・承認プロセス効率化のための基本的な考え方
ツールを導入する前に、効率化のための基本的な考え方を整理しておくことが重要です。
- プロセスの明確化: どのような内容について、誰が、どのような順番で、どのような基準で確認・承認を行うのか、事前にプロセスを明確にします。
- 必要情報の集約: 確認・承認に必要な情報は、一箇所にまとめて共有します。関連資料へのリンクなども含め、必要な情報にすぐにアクセスできるようにします。
- 状況の可視化: 各ステップの進捗状況(例: 確認中、承認済み、差し戻しなど)が、関係者全員に分かりやすく共有されている状態を目指します。
- 履歴の管理: いつ、誰が、どのようなフィードバックを行い、どのような判断(承認、差し戻しなど)をしたのか、その履歴が記録され、後から参照できるようにします。
これらの考え方を踏まえ、プロセスを円滑に進めるためのツールを検討します。
確認・承認プロセス効率化に役立つツールの種類
リモートワークにおける確認・承認プロセスを効率化するために役立つツールには、様々な種類があります。企画職の業務内容や、確認・承認の頻度、関わる人数などに応じて、最適なツールを選定することが重要です。
- ワークフローツール:
事前に定義した申請ルートに従って、電子的な申請書や文書を回覧し、承認を得ることに特化したツールです。社内の稟議申請や経費精算などに使われることが多いですが、企画書や報告書の承認プロセスにも応用できます。承認ルートの設定や、承認状況の追跡が容易になる点が大きなメリットです。多くのツールがモバイル対応しており、場所を選ばずに承認作業を行えます。
- 企画職にとってのメリット: 形式的な申請・承認プロセスが効率化される。誰がどこで止まっているかが明確になる。承認履歴が残る。
- ドキュメント共有・コメントツール:
Google WorkspaceやMicrosoft 365に含まれるドキュメントツール(Googleドキュメント、Wordなど)や、Notion、Confluenceなどの情報共有ツールには、ドキュメントを共有し、特定の箇所にコメントを付けたり、共同編集したりする機能があります。これらの機能を活用することで、資料の内容に関する確認やフィードバックを効率的に行えます。
- 企画職にとってのメリット: 資料とフィードバックが紐づくため、どの部分へのコメントか明確になる。共同編集で修正依頼もスムーズに行える場合がある。変更履歴が確認できる。
- タスク・プロジェクト管理ツール:
Trello, Asana, Jiraなどのタスク管理ツールは、タスクの進捗状況を可視化するのに優れています。「〇〇企画承認」といったタスクを作成し、ボード上でステータス(例: 要確認、確認中、承認待ち、承認完了)を移動させていくことで、承認プロセスの進捗をチーム全体で共有できます。コメント機能やファイル添付機能を活用すれば、関連情報も一元管理できます。
- 企画職にとってのメリット: 承認プロセス全体をタスクとして管理できる。他のタスクとの関連性も把握しやすい。チームメンバーに進捗状況が共有される。
- 情報共有ツール/社内wiki(承認機能付き):
Notionや一部の社内wikiツールには、特定のページに対して「承認者」を設定し、承認プロセスを管理できる機能を持つものがあります。企画に関する情報をページにまとめ、承認者指定機能を使って確認・承認を依頼することで、情報共有から承認までを一連の流れで行えます。
- 企画職にとってのメリット: 企画の情報と承認プロセスを同じ場所で管理できる。簡易的な承認ワークフローを構築できる。
ツールの選び方と比較のポイント
多種多様なツールの中から、自社や自身のチームに最適なものを選ぶためには、以下のポイントを比較検討することが重要です。
- 確認・承認プロセスの複雑さ: 形式的な稟議のような厳格なルートが必要な場合はワークフローツール、ドキュメントの内容確認が中心ならドキュメント共有ツール、企画全体の進捗管理の一部として承認を管理したい場合はタスク管理ツールなど、必要なプロセスの複雑さや目的に合わせて選びます。
- 既存ツールとの連携: すでに使用しているコミュニケーションツール(Slack, Microsoft Teamsなど)やドキュメントツール(Google Workspace, Microsoft 365など)との連携が可能か確認します。連携できるツールであれば、導入や利用のハードルが低くなります。
- 使いやすさ: ターゲット読者のように新しいツールの導入に戸惑いがある方でも、直感的に操作できるインターフェースであるかが重要です。特に承認を行う側のメンバーが抵抗なく使えるか、導入前のトライアル期間などで確認すると良いでしょう。
- 必要な機能の有無: 承認ルートの設定、承認履歴の記録、コメント機能、ファイル添付機能、リマインダー機能、モバイル対応など、自社に必要な機能が備わっているかを確認します。
- 価格体系: 無料プラン、トライアル期間の有無、有料プランの料金、ユーザー数による課金体系などを確認し、予算に合うか検討します。小規模なチームや個人での利用であれば、無料プランで十分な場合もあります。
- サポート体制: 導入時や利用中に不明点があった際に、どのようなサポートが受けられるか(FAQ、メールサポート、電話サポートなど)も重要な選定ポイントです。
具体的な活用ステップと企画職向け活用例
選んだツールを効果的に活用するための一般的なステップと、企画職における具体的な活用例をご紹介します。
活用ステップ例(タスク管理ツールの場合)
- 「承認依頼」ボード/リストの作成: タスク管理ツール内に、確認・承認が必要な項目を管理するための専用のボードやリストを作成します。
- 承認タスクの登録: 確認・承認が必要な資料や項目が発生したら、それを一つのタスクとして登録します。タスク名には「〇〇企画書 承認依頼」のように、内容と目的が分かるように記載します。
- 必要情報の添付/リンク: タスクの詳細に、確認・承認対象の資料(ドキュメントツールへのリンクやファイル添付)を掲載します。確認・承認の期日や背景情報、確認してほしい具体的なポイントなども追記します。
- 承認者の設定と依頼: タスクの担当者として承認者を設定し、コメント機能などで確認・承認を依頼します。
- ステータスの変更: 承認者は確認状況に応じてタスクのステータスを「確認中」「差し戻し」「承認完了」などに変更します。差し戻しの場合は、コメントで具体的なフィードバックを記載します。
- 進捗の確認: 依頼者はボード/リストを見ることで、各タスクの進捗状況を一目で把握できます。必要に応じてリマインダーを設定することも可能です。
企画職向け活用例
- 企画書の承認: タスク管理ツールやワークフローツールを使用します。企画書の概要、目的、具体的な内容をまとめた資料を添付またはリンクさせ、承認ルートに従って回覧します。進捗が可視化されるため、誰のところで止まっているかすぐに分かり、迅速な承認を促せます。
- 広報文案の確認: ドキュメント共有ツールのコメント機能を活用します。広報文案を共有し、関係部署(広報部、法務部など)にコメントで確認・フィードバックを依頼します。修正箇所とフィードバックが紐づくため、効率的に内容を調整できます。
- 予算申請の承認: ワークフローツールを活用します。規定の申請書式に沿って必要事項を入力し、事前に設定された承認ルート(例: 直属上司 → 部署責任者 → 経理部など)で申請を回覧します。過去の申請履歴も残るため、参照も容易です。
- 簡易的な仕様変更の確認: 情報共有ツール(社内wiki)の簡易承認機能や、タスク管理ツールを利用します。変更内容を短くまとめ、関連資料へのリンクとともに掲載し、関係者に確認を依頼します。大掛かりな手続きは不要で、迅速な合意形成を目指せます。
これらのツールや活用法を導入することで、リモートワークにおける確認・承認プロセスが効率化され、企画業務全体のスピードアップや手戻りの削減に繋がることが期待できます。
まとめ
リモートワーク環境下での確認・承認プロセスの非効率性は、多くの企画職が抱える課題です。情報の分散やコミュニケーションの遅延は、業務の進行を妨げ、ストレスの原因にもなり得ます。
この記事でご紹介したワークフローツール、ドキュメント共有ツール、タスク・プロジェクト管理ツール、情報共有ツールなどは、それぞれの特徴に応じてこの課題を解決する手助けとなります。自社の確認・承認プロセスの特性や複雑さ、既存のツール環境、使いやすさなどを考慮して、最適なツールを選定することが重要です。
ツールを導入するだけでなく、確認・承認プロセスの明確化、必要情報の集約、状況の可視化、履歴管理といった基本的な考え方を実践することで、ツールの効果を最大限に引き出すことができます。
これらのツールと活用法を通じて、リモートワークにおける確認・承認業務をよりスムーズに行えるようになり、企画職としての生産性をさらに高められることを願っております。